高麗人参は人間の健康を取り戻し、強化する強壮剤としてよく知られている。伝統的な薬として人参は悪心と嘔吐の軽減に使用される。けれども人参が生体内で抗悪心・抗嘔吐の性質を示すのかどうかまだ証明されていない。この研究では、フェレットを用いて高麗人参の全エキス（KRGE）のシスプラチン誘発の悪心嘔吐への抗嘔吐効果を我々は調べた。シスプラチンの腹腔内投与（7.5ｍｇ/Ｋｇ）は１時間後悪心と嘔吐を誘発した。悪心、嘔吐の発症は1.5時間後ピークに達し、3時間持続した。経口投与でKRGEでの治療は用量依存的にシスプラチン誘発の悪心と嘔吐を大幅に減少させた。抗嘔吐効果は投与量0.3,1.0,3.0ｇ/ＫｇのKRGE投与でそれぞれ12.7±8.6、31.8±6.9、67.6±4.0％であった。シスプラチン投与前（1～2時間前に）にKRGEを経口投与する治療もまたシスプラチン誘発悪心嘔吐を大幅に減じた。けれどもシスプラチン投与４時間前ではダメであった。これらの結果は化学療法が原因の悪心、嘔吐に対する抗嘔吐剤としてKRGEが使用できることを示唆している。

シスプラチン：抗ガン剤（腎毒性、悪心、嘔吐、聴器毒性あり）。悪心、嘔吐は延髄外側網様体に位置する嘔吐中枢が刺激され発現