ジンセノサイドは合成できないのか?(1)
2014 年 5 月 28 日研究開発室 中村
はじめまして。
研究開発室の中村実沙子です。
今年の4月に入社してから初めて高麗人参にふれました。高麗人参が健康によいことは知っていましたが、どう健康によいのか、何が健康によいのかは知りませんでした。
高麗人参に含まれるジンセノサイドが有効成分であると知り、その構造に興味を持ち、構造解析してみたいと思っていました。
液体クロマトグラフ (HPLC) でジンセノサイドの定量分析をしながら、「このジンセノサイドピークはこの構造だなぁ・・・」「核磁気共鳴 (NMR) ではこのようなピークになるなぁ・・・」と思いながらデータを見ていると、ふと化学的観点、また有機合成観点よりジンセノサイドって合成できないのだろうかと思うようになりました。
化学構造式はすでに明らかにされているので、逆合成解析で全合成経路を考えることはかなり難しく、ハードルが高いですが、可能だろうと思いました。
その合成法の一例として現時点で見つけたものを今回は列挙のみにします。
まず、日本の特許にジンセノサイドRh2の製造方法(特開平08-208688)がありました。株式会社ネオスが開発していました。Rh2のS体に関する合成方法もありました。
英語の文献ではまだまだ探しきれていませんが、現段階では“ELSEVIER”にRh2の合成方法の文献が一つありました(Tetrahedron Lett. 2011, 52, 3075-3078)。
Roの合成では“Thieme Chemistry”に簡単に出来るという論文を見つけました(Synlett 2004, 2, 259-262)。
私の考えとして、どちらの文献も実験室では簡単に出来るかなぁと思いました。ただし、有機合成で作ったものは食品用には使用できませんが・・・。
ただ、実験を行うにしても、
「ピリジン・・・臭いがもれると・・・多大なる迷惑が・・・」
「ジクロロエタンは環境基準汚染物質として名前があったような・・・」
と思いつつ、読んでいました。
さて、内容は次回に詳しく紹介したいと思います。それまでに新たな論文を検索しつつ、今回はここまでにいたします。
以上