高麗人参の分析について(4)

2014 年 10 月 22 日

主席研究員 理学博士 三原

以前のブログ(4/16)で、「私達の研究室では現在32種類のジンセノサイドを分析することができます。」と述べました。
今回は、分析できるジンセノサイドの種類について思うことをお話ししたいと思います。

 

今は32種類を分析できますが、1年前は26種類、2年前は23種類、そして、ジンセノサイドの分析を開始した当初は6種類しか分析できませんでした。

 

その6種類は、Rb1、Rg1などのメジャーなジンセノサイドのみで、いわゆるプレミアムジンセノサイドは含まれていません。

 

一般的な高麗人参の分析としてはその6種類でも問題ありませんが、紅参エキスを熟成させる過程を分析していると、6種類のジンセノサイドは減るばかり・・・。

 

「身体に良いものに変化しているはずなのに、それが測定できない~」と、当時はずいぶん悩みました。

 

学術文献等から、エキス熟成時にプレミアムジンセノサイドが増えることは明白だったので、ジンセノサイド分析で同時に検出される正体不明の物質の中に、エキス熟成時に増えるような物質があると、
「これがプレミアムジンセノサイドかもしれないなあ」などと思ったりしました。

 

そんな中、分析できるジンセノサイドを新たに増やし、エキス熟成などで増加するジンセノサイドが何であるかを、自らの手で確認できた時の嬉しさは今でも覚えています。

 

私達は、分析できるジンセノサイドを増やすことには、以下のような4つの利点があると考えています。

 

1.弊社製品製造の品質保証に役立つ

製品製造の際、私達は原料購入段階から、途中の各種加工工程、そして最終的な錠剤製造に至るまで、各段階でジンセノサイド分析を行っています。

 

その時、主要なジンセノサイドだけでなく、ジンセノサイド組成のパターン全体を確認することによって、正しく原料が使用されているか、製造工程に問題がないかをチェックできています。

 

多種類分析できることにより、品質保証の精度をより高めることができるのです。
その結果、弊社製品のジンセノサイド量は常に一定で、同じ組成パターンであることを全てのロットについて確認できています。

 

 

2.様々な原料の特徴を知ることができる

高麗人参は加工法などにより、水参(生の高麗人参)、白参(干した高麗人参)、紅参(蒸した後、干した高麗人参)などに分類されます。

 

根っこにも、太いところ(胴体)や、細いところ(ひげ根)があり、根っこ以外には果実、茎、葉っぱなどの部位があります。

 

分析してみるとそれぞれに特徴があり、高麗人参以外の人参類にも特徴的なジンセノサイド組成のパターンがあります。

 

これらは多種類のジンセノサイドを分析できて初めて分かることです。過去に分析して得た情報は、製品製造や研究開発において大いに参考にしています。

 

 

3.研究開発に役立つ

例えば、物質Xをターゲットにした研究開発を行う際は、当然、その物質Xを分析できなければなりません。

 

さらに、物質Aが物質Bに変化し、物質Bが変化して物質Xになる場合であれば、出発物質A、中間産物Bも分析できたほうがベターと考えられます。

 

より効率的に研究開発を進めるためには、反応経路の様々な産物を分析できた方が良く、上述のエキス熟成の例もこれに該当します。

 

そういった意味で、多種類のジンセノサイドを分析できるというのは、私達が開発を進める上で大きな武器になっています。

 

 

4.他社製品の参考分析に役立つ

あくまで参考としてですが、他社の製品を分析することがあり、その際、ジンセノサイド組成のパターンから原料を推測できることがあります。

 

弊社が積み重ねた様々な原料の分析情報の中で、当てはまる組成パターンがあったりするのです。
(弊社製品は根っこのみを使用していますが、葉を主体に使用している他社製品もあり、びっくりしました)

 

主要ジンセノサイドのみの分析だとおそらくここまで分からないと思います。

 

少し横道にそれますが、ジンセノサイドの組成のバランスや量を弊社製品と比較すると、「弊社製品は本当にいい製品だなあ」と思わされることが多いです。
(自画自賛で恐縮です。けど本当です!)

 

そんなわけで、分析できるジンセノサイドの種類が多いと、良いことがたくさんあります。

 

今後も可能な限り分析できる種類を増やしていきたいと考えていますが、そう簡単なことではありません。
またいつか、そのあたりの話をしたいと思います。