「からだ」ってスゴい(六)

2015 年 11 月 18 日

研究開発室 徳田

研究開発室の徳田英昭です。

今回もよろしくお願いします。

 

11月に入り、めっきり秋らしくなってきました。

京都の山々も色づきはじめています。

今年の紅葉はどうなるか、今から楽しみです。

 

今回は、大事な器官のひとつ「腎臓」についてのお話をさせていただきたいと思います。

少し長いので、2回に分けてお話しします。

 

最初に、腎臓のしくみを簡単に説明します。

全身を廻っている血液の一部は、腎動脈を通って腎臓内に送られ、そのほとんどが“糸球体(しきゅうたい)”に流れ込みます。

糸球体には、血液をろ過する非常にキメの細かいフィルターがあり、血液が糸球体を通過する間に、分子サイズの小さいものがろ過されます。

こうして生成されたものを“原尿”と呼びます。

原尿には、ブドウ糖やアミノ酸、電解質など、体にとって必要な成分が多く含まれています。

これらの成分は、原尿が“尿細管(にょうさいかん)”を通る間に水分と一緒に再吸収されて、血液へと戻るしくみになっています。

その結果、体にとって不要なものは尿として排泄され、キレイになった血液は腎静脈を経て下大静脈に入り、再び全身を廻ります。

ちなみに、1日で考えると、腎動脈を通じて腎臓に流れ込む血液量は約1400L。

そのうち、糸球体でろ過されて原尿になるのは約170L。

そして、尿細管での再吸収後に尿として排泄されるのは約1.5Lとなります。

 

腎臓は、このようなしくみを活用して、以下のような重要な役割をはたしています。

  1. 老廃物などを尿として排泄
  2. からだの水分量を調節
  3. ミネラルなど電解質の濃度を調整
  4. 体液のpHを調整
  5. 血圧を調節
  6. 赤血球の生成を調節

その他にも、様々な働きをしています。

 

腎臓って、ほんとにスゴいですね。

それでは、もう少し詳しく腎臓の働きを見ていきましょう。

 

1. 老廃物などを尿として排泄

私たちの体は、食物から取り込んだ栄養素を、細胞活動のエネルギー源や新しい細胞を作るための原料として活用しています。

その細胞活動の結果、栄養素の残りカス(老廃物)が生じます。

老廃物の例としては、尿素窒素、尿酸、クレアチニンなどが挙げられます。血液検査の項目でも見たことがありますよね。

これらは、体内でエネルギーとして使われたタンパク質の残りカス。これらの数値の上昇は、腎臓の排泄機能が低下していることを表しているのです。

腎臓は通常、老廃物をせっせと尿として排泄しています。

しかし、老廃物が上手に排泄されず血液中に溜まってくると、からだがだるい、動悸息切れ、食欲不振などの体調不良が起こることも。

老廃物の排泄は、本当に大事なんです。

 

2. からだの水分量を調節

人体の約60%は水分でできているといわれるように、その水分量を調節することは、生命の維持にとって非常に重要です。

実は、体内の水分量を調節するのも腎臓の働きなのです。

例えば、夏に大量の汗をかくと、脳からホルモン(抗利尿ホルモン)が多く分泌されます。このホルモンの働きによって水分の再吸収が活発になり、血液中の水分が減少しないように調節され、少量の濃い尿しか出なくなります。

逆に、水をたくさん飲むと、ホルモン(抗利尿ホルモン)の分泌が抑えられ、水分の再吸収量が減ります。すると、血液中の水分が尿として排泄されるため、多量の薄い尿が出ます。

つまり腎臓には、「尿を薄くする希釈力」と「尿を濃くする濃縮力」があり、体の状況に合わせながら、体内の水分量を一定に保ってくれているのです。

 

3. ミネラルなど電解質の濃度を調整

全ての細胞は、細胞外液という液体で保護されています。

細胞外液にはナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウムなどの電解質が含まれていて、この濃度が少しでも変化すると、細胞は正常に働くことができなくなります。

この電解質の調整をしているのも腎臓です。

例えば、塩辛いものをたくさん食べると、血液中の塩分濃度が上昇します。

すると、尿細管での塩分の再吸収が抑えられ、余計な塩分を尿として排泄します。

そして、細胞外液に含まれるナトリウム濃度が、正常値(0.85%)プラスマイナス0.05%の誤差の範囲内に保たれるように調整します。

 

長くなりそうなので、今回はここまでとさせてください。

続きは次回ということで、申し訳ありません。